膝関節センター

ごあいさつ

膝は関節の中で最も障害が生じやすい部位とされています。膝の痛みで困っている方は非常に多いです。若年者ではスポーツ等による半月板損傷や靭帯損傷が多いです、中高年者では加齢による変性によって、軟骨や半月板の障害が多いです。当センターは、膝に生じるすべての疾患に対して保存治療から手術まで対応しています。膝の痛みで困っているようであれば気軽の当センターを受診してください。

○担当医師

膝関節センター長

藤田 伸弥(ふじた しんや)

京都府立医科大学医学博士

(当センターで扱う代表的な膝の疾患)

・半月板損傷

半月板は膝の中にある三日月形のクッション(線維軟骨)です。内側と外側のそれぞれにあります。若年者はスポーツなどでひねったりして膝に大きな力が加わることで損傷します。中高年者では半月板の老化によりちょっとした外力で損傷することがあります。症状は痛みや引っかかり感、膝が動かなくなるロッキングがあります。まず保存治療を行いますが、症状が改善しない場合や半月板損傷の状態により手術治療を選択します。半月板縫合術(図1)と半月板部分切除術(図2)があります。

半月板部分切除術(図1)
中高年の方で半月板変性にともなう変性断裂を認め、部分切除術を行いました。

半月板縫合術(図2)
若年の方で内側半月板辺縁部の縦断裂で、縫合術を行いました。

・変形性膝関節症

  • [概要]

    変形性膝関節症は表面の軟骨がすり減って痛みや変形が生じる病気です。この病気の約9割の方は膝の内側の軟骨がすりへってきます。

  • [原因]

    変形性膝関節症は高齢の女性に多く、原因は肥満やO脚であることなどがあげられています。

  • [症状]

    初めの頃は、立つときなどの動き始めに痛みます。病状が進むにつれて歩行や階段昇降がつらくなったり、正座ができなくなったりします。多くは膝の内側が痛みます。

[治療]
  • →保存治療耶

    治療は、運動療法などの保存治療が基本です。運動療法は太ももの筋力トレーニングで膝の安定性を得ることで病状の進行を防止できます。ストレッチにて膝の周りの硬くなった組織の柔軟性が得られると痛みが改善します。病院ではヒアルロン酸の関節注射や投薬治療や足底板療法などを行います。これらの保存治療で、多くの方の症状は改善しますが、痛みが引かない場合は、手術を行います。

  • →手術治療

    ・高位脛骨骨切り術

    活動性が高く、O脚で膝の内側の軟骨だけがすり減っている場合は、O脚をX脚気味にする骨切り術(図3)を行います。骨切り術のメリットは自分の膝が温存できること、スポーツ動作も可能です。変形の強い方にはハイブリッド式高位脛骨骨切り術(図4)を行います。

内側楔状開大型高位脛骨骨切り術(OWHTO)(図3)

外側楔状閉鎖型高位脛骨骨切り術(Closed wedge HTO:CWHTO)(図4)

・人工膝関節置換術

膝の全体の軟骨がひどくすりへっている場合は痛んだ軟骨を金属に置き換える人工関節置換術を考慮します。活動性が低く、膝の内側のみの軟骨すりへりであれば、人工膝関節単顆置換術を行います(図5)。膝の軟骨全体がすりへっている方には人工膝関節全置換術(図6)を行います。当科では高度変形膝に対する人工膝関節置換術(図7、動画1)、(図8、動画1)も行っています。人工関節置換術のメリットは痛みを取り除く効果が高いです。

人工膝関節単顆置換術(UKA)(図5)

人工膝関節全置換術(TKA)(図6)

術前

術後1ヶ月後

高度外反変形であったため、拘束型インプラントという特殊なインプラントを使用しました。(図7、動画1)

術前

術後1ヶ月後

高度外反変形であったため、拘束型インプラントという特殊なインプラントを使用しました。(図7、動画1)

・前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝関節の中で、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)をつないでいる靭帯で、その役割は、大腿骨と脛骨が前後方向にずれたり、捻じれたりしないように制御しています。膝関節の安定を担うとても重要な靭帯です。これがスポーツなどで損傷すると、受傷直後は靭帯からの出血により関節内に血液がたまり、関節が腫れて痛みます。その後は徐々に症状が改善し数週間で歩けるようになりますが、後々に膝の不安定感や、膝が抜けるような感じ(膝くずれ)が生じることもあります。放置すると、半月板や軟骨損傷が生じます。前十字靭帯は血流が乏しい組織であるため、自然治癒の可能性は低いため、活動性の高い方や、日常生活において膝に不安定感を感じている方は手術治療がすすめられます。

手術治療(靭帯再建術)

手術治療(靭帯再建術)損傷した前十字靭帯を縫合しても癒合する確率は低いため、他の部位から腱を採取し、新たに靭帯を再建する手術を行います。手術は関節鏡を用いて最小侵襲で行います。1本の移植腱で前十字靭帯を再建する方法や2本の移植腱で再建する方法などがあります。当院では膝の後ろのハムストリング腱を用いて、もともとの前十字靭帯にできる限り近い靭帯を再現できる2重束再建術(図9)を行っています。

前十字靭帯2重束再建術(図9)